相続放棄をしても未支給年金は受け取れるか
相続放棄を検討している方から、次のような質問を受けることがあります。
「相続放棄をしたら、年金も一切もらえなくなりますか?」「亡くなった月の年金はどうなるのでしょうか?」結論からお伝えすると、相続放棄をしても、未支給年金は受け取れるケースがあります。
ただし、未支給年金は通常の相続財産とは扱いが異なるため、正しい理解が必要です。
未支給年金とは
未支給年金とは、年金受給者が亡くなった後、
- すでに支給事由が発生しているのに
- まだ支払われていなかった年金
のことをいいます。
具体的には、
- 亡くなった月分の年金
- 前月分までで、未だ支給されていない年金
などが該当します。
未支給年金は相続財産ではない
ここが最も重要なポイントです。
未支給年金は相続財産には含まれません。
法律上、未支給年金は、
- 相続によって引き継ぐものではなく
- 一定の遺族に「固有の権利」として支給される
とされています。
そのため相続放棄をしていても未支給年金の受給資格が失われるわけではありません。
相続放棄をしていても受け取れる理由
相続放棄をすると、
- 預貯金
- 不動産
- 借金
といった相続財産については一切の権利義務を失います。
しかし、未支給年金は、
- 「相続」による取得ではない
- 遺族自身の権利として支給される
ため、相続放棄とは切り離して考えられます。
この点は死亡保険金の考え方と似ています。
未支給年金を受け取れる人の範囲
未支給年金を受け取れるのは誰でもよいわけではありません。
原則として、
- 被相続人と生計を同じくしていた
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
の順で優先順位が定められています。この順位は相続順位とは必ずしも一致しません。
未支給年金を受け取るための手続き
未支給年金を受け取るには年金事務所等で手続きが必要です。
一般的には、
- 年金受給者死亡届
- 未支給年金請求書
- 戸籍関係書類
- 生計同一関係を示す書類
などを提出します。
相続放棄とは別に年金の手続きは必ず行う必要があります。
未支給年金を受け取っても相続放棄は無効にならない
未支給年金を受け取ると、「財産をもらったことになるのでは?」と心配される方もいます。
しかし、未支給年金は相続財産ではないため受け取っても単純承認にはあたりません。
相続放棄の効力に影響することはありません。
相続放棄と未支給年金は別問題
今回のポイントを整理します。
- 未支給年金は相続財産ではない
- 相続放棄をしても受け取れるケースがある
- 受給は遺族固有の権利
- 受け取りには別途手続きが必要
- 受け取っても相続放棄は無効にならない
相続放棄をすると、「一切のお金を受け取れない」と考えがちですが、未支給年金は例外です。
「相続放棄したけど、年金の手続きはどうすればいい?」「自分が受け取れる対象なのか分からない」そのような場合は、早めに専門家へ相談することで、漏れのない手続きにつながります。
