遺言書には何を書いても良いのか
「遺言書は自分の好きなように書いて良い」と思われている方は意外と多いものです。たしかに、遺言書はご自身の最終意思を表す大切な書面ですので、自由に書ける部分があることは確かです。しかし実務上は、“書いてよいこと” と “書いても効力がないこと” が明確に分かれています。
そこで今回は、遺言書に書けること・書けないこと、また注意すべきポイントをご紹介します。
遺言書は何を書いてもよいのか
結論から言えば、なんでも書いてよいが、なんでも有効になるわけではないというのが正確です。
遺言書はご本人の意思を書き残すものですから、財産の分け方だけでなく、家族への想い、感謝のことば、生前のお詫びなどを書き記すこともできます。こうした“付言事項”と呼ばれる部分は、法的な拘束力はありませんが、ご家族の心の整理に役立つため、書かれる方も多くいらっしゃいます。
しかし一方で、財産の分配方法などの法的効力を持たせたい部分には明確なルールが存在します。
“自由に書いてよい” という言葉だけを信じて作成すると、後から無効になったり、相続人間のトラブルになることもあります。
遺言書が「有効」と認められるための基本条件
遺言書には、書き方の形式が定められています。
この形式を守らないと、内容が丁寧に書いてあっても無効になる可能性があります。
●自筆証書遺言の場合
- 全文・日付・氏名を自筆で書く
- 押印する
- 財産目録はパソコン作成も可(ただし署名押印が必要)
この要件のどれか一つでも欠けると、形式的に無効になる可能性があります。
●公正証書遺言の場合
公証役場で公証人が作成します。形式の不備はほとんど起こりませんが、証人の資格(成年であることや利害関係がないことなど)には注意が必要です。
形式を外れると内容以前の問題になってしまいますので、まず形式を確認することが非常に重要です。
遺言書に書いて良い内容・書けるが効力のない内容
●【法的効力がある】遺言で定められる主な事項
- 財産の分け方(誰に何を相続させるか)
- 遺言執行者の指定
- 認知
- 相続人の廃除(家庭裁判所の手続が必要)
- 生命保険金の受取人変更(判例上一定の場合は可能)
特に、財産の分け方については遺言の中心部分です。
「長男に自宅を相続させる」「預金は長女に与える」など、個別に指定することができます。
●【法的効力はないが書ける】付言事項
- 家族への感謝やメッセージ
- 介護へのお礼
- 財産配分の理由
- 葬儀・墓についての希望
これらは法律で強制力はありませんが、ご家族にとっては大切な道しるべになります。
●【書いても無効になるもの】
- 法律に反する内容
- 実現不可能な内容
- あいまいで特定できない内容
- 遺留分を侵害する内容(効力はあるが後で争いになる)
たとえば、
「次男には一切相続させない」と書いた場合、形式上は有効ですが、後に遺留分を請求されれば、
相続人間で交渉が必要になり、結果としてトラブルにつながることがあります。
こうした曖昧さは、後の相続手続の大きな負担につながります。
遺言書は「書けば安心」ではありません
遺言書はご本人の最終の意思を表す非常に重要な文書です。
しかし、
- 法律の要件を満たしていない
- 書き方があいまい
- 現実の状況と合っていない
このような状態では、せっかく書いても実際には争いの原因になったり、無効として扱われることもあります。「何を書いてもいい」ではなく、「何を書けば有効なのか」「どんな書き方が望ましいのか」を理解したうえで作成することが大切です。
行政書士などの専門家は、形式面のチェックはもちろん、内容面でのアドバイスや、相続トラブルを
避けるための文案作成もサポートできます。
◆遺言書の作成でお悩みの方へ
- 自分の考えている内容が有効か不安
- どこまで書いて良いのか知りたい
- 書いた内容を専門家に確認してほしい
このようなお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。ご家族にしっかりと伝わる、遺言書作成をお手伝いさせていただきます。
