HOME / コラム / 家族以外に遺産をあげることはできるか

家族以外に遺産をあげることはできるか

更新日:2025年11月29日
カテゴリー:



「ずっと仕事を手伝ってくれた人に感謝の気持ちを形にしたい」
「親族ではないけれど、人生で大変お世話になった人に財産を渡したい」

こうしたご相談は、近年確実に増えています。核家族化が進み、家族との距離が変化した一方、長年付き合いのある友人や支援してくれた知人に対して「最後に恩返しをしたい」と考える方が多くなっているためです。

では、知り合いやお世話になった人へ遺産をあげることは法律上できるのでしょうか?結論から言うと、遺言書で指定すれば可能です。ただし、注意すべきポイントや、誤解されやすい点もあります。

今回の記事では、家族以外の人に遺産を渡す際の方法と注意点を分かりやすく解説していきます。

家族以外に財産を渡す方法は「遺贈」

法律上、家族ではない知人や友人は相続人ではありません
相続人とは「法律が定める範囲の人」のことで、次のように決まっています。

  • 配偶者
  • 子(または代襲相続人である孫)
  • 直系尊属(父母・祖父母)
  • 兄弟姉妹(甥姪が代襲することもあり)

これ以外の人は、どれだけ親しくしていても相続人にはなりません。

そのため、家族以外の人に財産を残したい場合は、遺言書で「遺贈(いぞう)」の意思表示をする必要があります。

遺贈とは

遺言によって財産を贈与すること。
相続人以外の人でも受け取ることができます。

「○○さんに100万円を遺贈する」
「長年の友人△△に時計をあげる」

このように遺言に書き残せば、複雑な手続をしなくても財産を渡すことができます。

「家族以外にあげると遺言は無効になる?」という誤解

ご相談の中で意外と多いのが、
「家族以外に遺産をあげてもいいのですか?」
「法律で禁止されているのでは?」
という誤解です。

遺言は基本的に誰に財産を渡すか自由に決められるため、友人・知人・恩人・介護してくれた人・団体など、相続人以外でも指定できます。

ただし、ここで一つ重要な点があります。

遺留分を侵害するとトラブルにつながる可能性がある

前回までの記事でも解説したように、
配偶者・子など一部の相続人には「遺留分」という最低限の取り分があるため、
家族以外に財産を渡す場合、遺留分を侵害してしまう可能性があります。

たとえば

遺産総額が2000万円で、相続人が妻と子1人の場合、
妻の遺留分:1/4
子の遺留分:1/4
→ 合計500万円

遺言で「知り合いに2000万円を渡す」と書くこと自体は有効ですが、
妻と子は法律上500万円分の取り戻し(遺留分侵害額請求)ができます。

そのため、家族以外へ財産を回す場合は、
遺留分を考慮した上で、どの財産をどれだけ渡すかを設計することが重要です。

どのような人に遺贈できるのか

遺贈できる相手に制限はありません。

  • 長年お世話になった友人
  • 介護をしてくれた方
  • 家族のように親しくしていた知人
  • 団体やNPO法人
  • 学校・慈善団体・宗教法人
  • 動物保護団体
  • 地域の自治会

さらには、見ず知らずの個人でも可能です。
それほど遺言の自由度は高いのです。

ただし、相手が受け取りを拒否することもできるため(放棄)、事前の意思確認があるとスムーズです。

実務で多い「知り合いへの遺贈」のケース

行政書士として関わる中で、特に多いケースをご紹介します。

①介護や生活を支えてくれた方

長年、家族以上に寄り添ってくれた方へ感謝を込めて遺贈するケースが増えています。

②長く交流した友人

配偶者に先立たれた方や、子どものいない夫婦の場合、友人へ遺贈することは珍しくありません。

③恩師や教会、寺院など

精神的に支えてくれた存在へお礼をしたい、というご相談もあります。

④自治体や福祉団体への寄付

公益活動を支援したいという理由から遺贈する方も、とても増えています。

「知り合いへの遺贈」を書く際の注意点

家族以外へ財産を渡す遺言は、通常の遺言より慎重な文案の作成が必要です

①相手の氏名・住所を正確に記載

曖昧にすると誰に渡すのか特定できません。

②財産の特定(どれを渡すのか)を明確に

「財産の一部を」とだけ書くと争いの原因になります。

③相続人の遺留分に配慮

後々トラブルになる可能性を避けるため、事前調整が望ましいです。

④予備的遺言の併用

相手が遺言者より先に亡くなっている可能性があるため、予備的遺言が非常に有効です。
(例:友人が受け取れない場合は○○団体へ遺贈する、など)

感謝の気持ちを「形」にできるのが遺言の力

家族以外の人に遺産を渡すことは、法律上問題ありません。
むしろ、遺言書こそがその想いを最も確実に実現できる手段です。

ただし、

  • 遺留分の問題
  • 財産の特定
  • 文案の正確さ
    など、注意すべき点は少なくありません。

大切な気持ちを確実に届けるためには、専門家のチェックを受けながら遺言を整えることが非常に効果的です。

知人・友人・恩人への遺贈を考えている方へ

  • お世話になった人に財産を残したい
  • 家族以外へ渡す場合の書き方に不安がある
  • 遺留分を侵害しないか心配
  • 公正証書遺言にした方がよいか迷っている

こうしたご相談は増えています。遺言内容の設計から文案作成、公正証書遺言の手続きまでサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

オンライン相談

お問い合わせ