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字が書けなくても遺言書は作成できるか

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高齢や病気、身体の障がいなどにより「字がうまく書けない」「手が震えてサインができない」というご相談をいただくことがあります。その際によく聞かれるのが、「字が書けなくても遺言書は作成できるのでしょうか?」という質問です。

結論からお伝えすると、字が書けない場合でも遺言書の作成は可能です。ただし、作成できる遺言の種類や方法に制限があるため、注意が必要です。

今回は、字が書けない方が遺言書を作成する場合のポイントや注意点を、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

自筆証書遺言は「自書」が必須なので困難

まず、自筆証書遺言についてですが、民法では次のように規定されています。

  • 財産目録以外の全文を自書すること
  • 日付を自書すること
  • 氏名を自書し、押印すること

つまり、自筆で書くことが要件となっているため、字が書けない状態では自筆証書遺言を作成するのは極めて困難です。

もちろん、手が震える、ゆっくりであれば書ける、といった場合は、多少字が乱れていても本人の自書と認められれば有効です。

しかし、

  • 文字を全く書けない
  • 署名や押印が不可能
    といった状態では、自筆証書遺言は適していません。
字が書けない場合に最も適しているのは「公正証書遺言」

字が書けない場合でも、確実に遺言書を作成できる方法があります。
それが 公正証書遺言 です。

公正証書遺言は、

  • 公証人が本人から内容を聞き取って文書を作成
  • 本人は署名できないとき、他の方法で意思表示が可能
  • 手が震えて書けなくても、公証人の確認で遺言が成立
    という特徴があります。

署名ができない場合でもOK

本人が署名しなくても、
「本人が署名できない理由」を明記し、公証人が代筆する形で作成できます。
この方法は法律で認められており、正当な遺言として扱われます。

誰かが代わりに書くのではなく、公証人が作成する安心感

公証人が本人に直接意思確認を行うため、

  • 本人が理解しているか
  • 無理な誘導がないか
  • 判断能力に問題がないか
    を丁寧に確認します。

そのため、後に「無効では?」と争われるリスクが非常に低くなります。

病室や自宅でも作成できます

字が書けない理由として、

  • 入院している
  • 病気でベッドから動けない
  • 身体に障がいがある
    という状況もよくあります。

公正証書遺言の場合、公証人が病院や自宅へ出張してくれるため、作成が可能です。

また、必要に応じて医師の診断書(判断能力に関するもの)を提出することで、後日のトラブル防止にも役立ちます。

音声やビデオで遺言を残すことはできる?

質問でよくあるのが、「字が書けないので、音声録音やビデオで遺言を残すことはできますか?」
というものです。

残念ながら、音声やビデオによる遺言は法律上無効です。

必ず、法律で定められた方式(公正証書遺言など)によって作成する必要があります。

字が書けない方が遺言書を作るときの注意点

字が書けなくても遺言を書くこと自体は可能ですが、次のような点に注意して進める必要があります。

  • 本人の意思をしっかり確認する
  • 家族が誘導しない(無効の原因になります)
  • 公証人との面談に本人が対応できるか確認する
  • 医師の診断書を準備することも検討する
  • 書類の準備は専門家と一緒に進める

公正証書遺言は確実な方法ですが、準備が必要なため、
早めの相談がとても重要です。

字が書けなくても遺言は残せます

字が書けなくても、遺言をあきらめる必要はありません。

  • 自筆証書遺言は難しい
  • 公正証書遺言なら作成可能
  • 署名できなくても公証人が代筆する制度がある
  • 病院・自宅でも作成できる
  • 音声やビデオの遺言は無効

字が書けないという理由だけで遺言を諦めてしまう方も多いですが、方法を選べば十分に有効な遺言書を作成できます。

当事務所では、

  • 公正証書遺言の作成サポート
  • 病院・自宅での作成体制のご案内
  • 本人の意思確認のアドバイス
    など、状況に合わせてサポートいたします。

「字が書けないけれど遺言を残したい」とお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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